理論

社会発展の法則性(2)

前回の記事では、弁証法が「あらゆる事物の変化・発展を本質的に理解するための法則」という哲学へ発展してきた事を説明しました。今回は、その弁証法の考え方を説明しながら、社会がどのように発展していくのか見ていきたいと思います。

「実現すべき矛盾」と「克服すべき矛盾」

この円を社会だとします。
社会とは、例えば狩猟採集社会、農耕社会、封建社会、資本主義社会などの事です。約400万年前からこの円は変化し続けてきました。歴史が示すように、社会の在り方は変化できるのです。

人間はこの円の中にいます。
点線の円が人間を表しています。人間の円は社会の円の中で、自由に大きさを変えられます。人間が自由に活動できるという事です。ただし、社会の限界を越えない範囲で。

社会と関係なく人間は自由に活動できるという意味では、人間と社会は繋がっていませんが、人間の活動の限界を社会が決めているという意味では、人間と社会は繋がっています。このような関係を「相対的な独立」と呼びます。この「繋がっていると同時に繋がっていない」という矛盾の状態こそが、私たち人間と社会の本質的な関係であり、この関係を維持または実現することが、人間の活動と社会を調和させます。このような矛盾のことを「非敵対的矛盾」と呼びます。

今の社会は資本主義社会です。
きっとあなたは資本主義社会で生きているでしょう。私もそうです。資本主義社会という円の中で、人類は自由に活動してきました。

国家は経済を軸に政策を考え、企業はグローバル市場で競争を始め、人々はお金のために働きました。個人や組織を問わず、誰もが飽くなき利益拡大を目指してきたのです。利益を限りなく増殖させる機能をもつこの資本主義という社会は、大きな矛盾を私たちに用意していました。
「自然破壊」と「貧困」です。

自然破壊。
工業の発展に伴う電力消費を支えるために、化石燃料を絶え間なく燃やし、温室効果ガスは増加し続けています。気温と海水温の上昇は、気流・海流という地球の循環システムを狂わしており、干ばつや異常気象といった自然災害の原因となっていると考えられています。

貧困。
途上国では貧しい農村で暮らしていけなくなった人々が、大都市でスラムをつくり生活しています。お金がなければ生きていけず、仕事がある都会に移り住んでいるのです。しかしその賃金は恐ろしく低く、1日200円未満で暮らしています。そんな人々が世界に7億人もいるのです。人類の10人に1人が貧困状態にあるということです。

このような自然破壊や貧困のことを「矛盾」と表現したのは、これらは資本主義社会の発展の結果として生まれましたが、さらに加速していくと、これらが原因となって資本主義社会は発展できないだけでなく、衰退していくことになるからです。このように、発展のために克服する必要がある矛盾のことを「敵対的矛盾」と呼びます。

つまり既に資本主義社会の限界は見え始めており、この「敵対的矛盾」を克服する新たな社会の実現が必要になってきているということです。

人間の円が大きくなり、社会の円の限界に近付いてきました。そして社会の円に影響を与え始めています。

人間は社会の中で生活していますが、社会は人間が作り上げていくものです。その意味で、社会は決して勝手に変化していくものではなく、人間が主体的に変化させていくことができるのです。社会が人間の活動に影響するだけでなく、人間の活動が社会に影響する、このような相互作用のことを「対立物の相互浸透」と呼びます。これは「繋がっていると同時に繋がっていない」という非敵対的矛盾の実現、つまり人間と社会の調和を実現するために、必要な運動と捉えることができます。

今、私たち人類はこの段階にいます。
私たちは社会を変化させるべき時期にあり、その準備は既にできているのです。