理論

社会発展の法則性(1)

以前の記事「矛盾の世界」では、矛盾は対立物の統一であり、あらゆる事物が矛盾という性質を持っており、対立物が統一されるメカニズムとして「対立物の相互浸透」がある、という内容を説明してきました。

今回からは、これまでの内容を踏まえた上で、弁証法が解き明かす人間の社会発展の法則性を学んでいきたいと思います。そんなに難しい話ではありませんが、知っておくと世界の見え方が変わるはずです。

弁証法とは?

今まで何度も「弁証法」という言葉を出してきましたが、この言葉が何を指しているのかまだ説明していませんでした。

初めは古代ギリシャにおいて、”真理に到達すための技術”のことを「弁証法」と呼んでいました。その技術とは、今の数学で言う”背理法”のことです。
背理法とは、「自分の意見Aが正しいと証明したいとき、まず対立する意見Bを正しいと仮定して議論を進めていき、そこから矛盾を明らかにし、その矛盾は意見Bが正しいと仮定したことによって生じているから、意見Aが正しいことになる」という論理展開のことです。討論する形で矛盾を明らかにし真理に到達するという意味で「弁証法」という言葉で呼ばれていました。しかしこれはあくまで思考方法・技術として考えられていました。

時が経ち、18~19世紀のドイツ哲学の発展によって、弁証法に現れる「矛盾」は人間の思考の中だけで発生しているわけではなく、むしろ人間の外側にある事物自体、世界自体が矛盾という性質を持っていることで、その反映として私たちの思考や認識にも矛盾が現れているのではないかと考えられるようになりました。つまり精神の運動(思考や認識)に現れる矛盾は、自然の運動が持つ矛盾が反映されているに過ぎないということです。このように私たちの頭とは関係なく、あらゆる事物が矛盾という性質を持つと考えることで、社会の変化・発展にもその矛盾が反映されているのではないかと考えることができます。こうして「矛盾を明らかにし真理に到達する」という弁証法は、この世界の自然・社会・精神を貫く、「あらゆる事物の変化・発展を本質的に理解するための法則」という哲学へと進化していきました。

弁証法をどう役立てるか?

弁証法を用いることで、今までの社会、これからの社会を正確に認識することができます。今後の記事ではその「弁証法による社会発展の法則性」を明らかにしていきます。ただし、社会発展の法則性を理解しただけでは、それは雑学にしかなりません。大切なのはそれをどう役立てるのかということです。なぜかというと、社会発展というのは「客体的に起こるもの」ではなく、社会を構成している人間が「主体的に起こすもの」だからです。

このサイトのトップページに書いたように、私は「自由」を「人類が自らの未来を自ら選び実現している状態」と定義し、「何を考え、どう行動すれば、自由を実現できるのか?」ということを課題として捉えています。弁証法はこの課題を考える上で強力な武器として役立てることができると考えています。