理論

矛盾の世界(4)

前回の記事では、事物が全て一時的・相対的なものであると捉えることによって、矛盾という性質が現れることを説明しました。今回はその捉え方によって明らかになる「相対的な独立」という矛盾について説明します。

「相対的な独立」という矛盾

丸めた粘土を手で押しつぶすと球体から平面になります。この時、体積は変化しませんが表面積は大きくなります。もっと強く押しつぶすと更に表面積は大きくなっていきますが、極限まで平たくしたらそれ以上は大きくなれません。ここで表面積の拡大にも限界が来ます。今度は粘土を足して先ほどより体積を大きくした球体の粘土を押しつぶしたら、粘土がより大きく広がり、先ほどの表面積の限界を超えることができます。

この粘土の例から、体積と表面積の関係を考えると以下のようになります。
体積が変化しない範囲で表面積は自由に変化することができます。体積が変われば表面積が自由に変化できる範囲も変わります。つまり体積が表面積の自由に変化できる限界を決めているという点で両者は繋がっていますが、体積に関係なく表面積は変化できるという点で両者は繋がっていない、と考えることができます。
このように「一方がある限界の内では他方と関係なく変化できる」関係にある事物を、「相対的な独立において存在する」と言います。つまり粘土における体積と表面積は相対的な独立において存在することになります。

ここで、体積と表面積の関係は、見方によっては繋がっているが見方によっては繋がっていないことが分かりました。「見方によって」ということは「相対的」ということです。つまり相対的に捉えると「繋がっていると同時に繋がっていない」ということになります。ここでも相対的に事物を捉えたことによって、「相対的な独立」という矛盾が明らかになりました。

他にも例を挙げると、ビーチボールは折りたたんだ状態から空気を入れると膨らんで丸くなります。この時、表面積に関係なく体積は変化します。しかし空気がいっぱいになり、ビーチボールの表面積の限界を超えて体積が大きくなることはできません。もっと体積を大きくしたいなら、新しく表面積の大きいビーチボールを買わないといけません。先述の粘土の例とは体積と表面積の立場が逆ですが、両者が相対的な独立において存在するという点は同様です。

因みに「相対的な独立」は”繋がっていると同時に繋がっていない”ので、”事物自身が同時に他の性質を持つ”という直接的な矛盾(対立物の直接的な統一)の一つです。