理論

矛盾の世界(3)

前回の記事では、矛盾がどのような形で現れるのか説明しました。では、なぜあらゆる事物に矛盾という性質が現れるのか?今回はその理由を考えてみましょう。

なぜ矛盾は現れる?

A→B→Cという媒介関係という形で、Bが矛盾という性質を持つことが分かりました。これは逆に言うと、Bが矛盾という性質を持つと正しく認識するためには、 A→B→Cという媒介関係を認識する必要があるということになります。この媒介関係を認識するにはどう考えれば良いのでしょう?

過去と未来の例では、”昨日にとって”今日は未来、”明日にとって”今日は過去、と捉えたことで今日の媒介関係を認識できます。
原因と結果の例では、”卵を落とした事にとって”殻が割れた事は結果、”中身が外に出た事にとって”殻が割れた事は原因、と捉えることで殻が割れた事の媒介関係を認識できます。
消費と生産の例では、”食料にとって”あなたの生命活動は消費、”エネルギーにとって”あなたの生命活動は生産、と捉えたことで生命活動の媒介関係を認識できます。

この”~にとって”というのは「相対的」ということです。
相対的に事物を捉えることで、媒介関係を認識することができ、矛盾の存在を認識できました。これはつまり、媒介的な矛盾が現れる理由が「事物が相対的なものである」と捉えるからということになります。

また媒介関係を認識するためにもう一つ根本的な事物の捉え方があります。それは「事物が一時的なものである」ということです。例えば、「今日がずっと続く」と捉えていたとしたら昨日や明日の存在を認識できないので、媒介関係も認識できません。「卵の形は変わらない」と捉えていたら殻が割れることも分からないし、「分子は変化しない」と捉えていたら食料がエネルギーに変化する仕組みを理解できません。今日という日はいずれ終わるし、卵はいつか割れるし、分子は分解・結合を繰り返します。つまり事物は一時的なものであり、絶えず変化するものであると捉えないと、正確に媒介関係を認識できません。

媒介的な矛盾だけでなく、直接的な矛盾に対しても同じことが言えます。「量子は粒子である」と捉えているだけでは波の性質を説明できないし、「量子は波である」と捉えているだけでも粒子の性質を説明できません。最終的に物理学者がたどり着いた答えが「粒子でもあり波でもある」ということだったのは、まさに「どちらかであり続ける」という捉え方から、「どちらでもあり、変化し続ける」という捉え方をしたことを意味しています。

「万物は流転する」 = 全ては一時的・相対的

事物は「一時的・相対的」なものであると捉えることで、事物の持つ矛盾という性質が現れることが分かりました。弁証法では、事物が一時的・相対的であるということは自然・社会・精神を貫く普遍的な法則の一つであると考えられています。古代ギリシャの哲学者であるヘラクレイトスは「万物は流転する」という言葉を残したとされていますが、弁証法という考え方が理解される二千年以上前には、すでにこの一時的・相対的という法則を捉えていたのです。

「矛盾はあらゆる事物が持つ性質」「全ては一時的・相対的」という考え方は、今の世界、これからの世界を正確に捉える上で、とても重要になっていきます。