理論

矛盾の世界(2)

前回の記事では、矛盾は対立物の統一であり、あらゆる事物が持つ性質だと説明しました。今回はもう少し抽象度をあげて、その矛盾がどのような形で現れるのかを考えてみましょう。

媒介的な矛盾

前回挙げた「過去と未来」「原因と結果」「消費と生産」などの例は全て媒介関係になっています。A→B→Cという関係で説明すると以下になります。

過去と未来:昨日(A)と明日(C)の関係は、今日(B)が媒介している。
原因と結果:卵を落とす(A)と中身が出る(C)の関係は、殻が割れる(B)が媒介している。
消費と生産:食料の消費(A)とエネルギーの生産(C)の関係は、あなたの生命活動(B)が媒介している。

このように媒介関係という形で現れる矛盾を弁証法では「対立物の媒介的な統一」と言います。

直接的な矛盾

上記のような媒介的な形の矛盾とは別に、媒介とは関係なく「事物自身が同時に他の性質を持つ」という直接的な形で現れる矛盾もあります。

例えば、「量子」は「粒子であると同時に波でもある」という性質を持ちます。粒子は位置を特定できますが、波は空間全体に広がっています。この意味で粒子と波という性質は対立物として捉えられますが、量子はそれ自身がこの対立物の統一、つまり矛盾であるということです。だからと言って量子は幻想ではなく、光や電気という形で生活の身近に存在するものです。

他の例として、「生産手段」は「生産すると同時に消費される」ものです。工場の製造装置は、稼働することで製品を生産しますが、稼働することで消耗していきます。つまり生産と消費が、製造装置で同時に起きていることになります。

これらの例のように、 事物自身が同時に他の性質を持つという直接的な形の矛盾を弁証法では「対立物の直接的な統一」と言います。